本記事では、2020年4月から施行される「健康増進法の一部を改正」による雀荘への影響について、専門書で調べた内容をもとに解説します。(従業員を含む)20歳以下の喫煙室への入室禁止など、けっこう厳しめの法律なので注意しましょう。
麻雀をする人はご存知かと思いますが、雀荘とタバコというと、切っても切り離せないような関係性ですね。
喫煙所では外界に比べ、3割増しで麻雀の話題が多い(当社比)とも言われています。
ただ、そんな関係性に変化が起こるかもしれません。
東京都で新たな条例『受動喫煙防止条例』が施行されたためです。
以下で詳しく見ていきましょう。
目次
2020年4月施行!受動喫煙防止法・条例とは?健康増進法の一部改訂が焦点に…!
経緯としてはまず厚生労働省が2018年10月、他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙の対策を強化する案(健康増進法改正案)を発表しました。
それを踏まえて東京都では、2020年の東京五輪に向けて受動喫煙防止条例(東京のみ)を制定し、その後、全国でも受動喫煙防止法が施行となったというのが経緯です。
全国版としては、健康増進法の受動喫煙に関する項目が一部改訂されました。
原則屋内禁煙 (喫煙を認める場合は喫煙専用室などの設置が必要)
引用元:厚生労働省HP
対象の施設は、
- 学校や病院などの第一種施設
- それ以外の第二種施設
に分かれ、第一種は全面禁煙、第二種でも専用室の設置とそれ以外での喫煙は禁じられます。
ちなみに第二種の対象はホテル、娯楽施設、飲食店など「従業員のいる施設ほぼ全て」。風俗営業のマージャン店なども対象となります。
東京都の条例も大体同じです。
その他多数の者が利用する施設 →原則屋内禁煙(喫煙専用室内のみで喫煙可)
ただし、従業員がいない飲食店等においては、屋内の全部又は一部の場所を喫煙することができる場所として定めることができる引用元:別紙 受動喫煙防止|東京都より
で、これが2020年4月から施行開始となり、最終的な決定事項は以下の通り。
2020年4月1日から
=「東京都受動喫煙防止条例」・「改正健康増進法」全面施行=
2人以上の人が利用する施設は原則屋内禁煙となります。
決められた場所以外では喫煙できません。引用元:東京都福祉健康局
対応のポイントは従業員の受動喫煙をなくすこと
基本的理念として「従業員を守る」ことが挙げられており、客というよりも従業員が煙もくもくの環境で働かされることのないようにするというのがポイントとなっています。
確かに飲食店などでは、客側はその店を訪れないという選択肢がありますが、従業員は店長とかが吸っていても文句は言いづらい。
煙草の煙が本当は嫌だけどそれを言いだせない従業員を救済する意味が今回の法律制定にはありそうです。
具体的な改定のポイントは以下の通り。
- 完全分離した喫煙室を作るか、あるいは完全禁煙にするかの2択(小規模店舗の場合は全館を喫煙可とすることもできるが、その場合「喫煙を主目的とする施設となりその旨を提示する必要あり」)
- (法律なので)違反すると最大50万円の罰金
- 個人であっても喫煙場所以外でタバコを吸うと罰せられる可能性あり
- 20歳未満の従業員や客は喫煙室に喫煙目的以外でも入室できない
特に4つ目が割と大変で、例えば全館を喫煙可能場所としてしまった場合、高校生のアルバイトを雇ったりはできなくなる恐れがあります。
※喫煙目的以外でも喫煙可能場所へ20歳以下は立ち入ってはならないため。
雀荘における麻雀中の喫煙は禁止になる可能性が高い
で、雀荘では条例制定後、具体的にどうなるのかについてです。
これは、完全分煙した個室を作った場合その室内で喫煙は継続して行えます。
例えば、町田のzooなどは、喫煙室が完全に分離された構造となっており、そのような場合は条例に引っかからない可能性が高いです。
- 壁は完全に天井まで達していること
- 出入り口での風速が規定(0.2m/s)以上であること
- タバコの煙が外部に排出されること
- 喫煙店であることの表記を店内の分かりやすい場所に掲示すること。その際には20歳以下の立ち入り禁止も併せて表記すること
といった諸条件を満たす必要はあります。
それに伴い、これまでの雀荘ではすべての卓や待合室でタバコを吸えたのが、一部の卓でしか吸えなかったり、対局中はまったく吸えなくなったりする(卓外にある喫煙所に行く)ようになるかもしれませんね。
健康促進法対応のよくある質問と回答Q&A集
「えーでもー」とか「じゃあ、これはどうなのー」とか色々あると思うのでまとめました。
時間帯による区分けは可能?
まずは時間帯による区分けは可能かどうか。
昼は禁煙、夜は喫煙可能みたいなスタイルですね。
これは不可となります。
一次的にでも喫煙可としたら喫煙可能部屋の扱いとなります。標識に関しても一日中付けておく必要があります。
屋内と屋外の扱いについて
屋外での喫煙に関しては特に規定はありません。ただし道に面しているなど人通りがある場合は配慮する必要があります。
また、屋内と屋外の区分けに関して言うと、カベや屋根が半分以上覆われていると屋内扱いが大まかな基準です。
なので、窓を開けたくらいでは屋外と言い張れません。
訴訟リスクは?
民事訴訟はたまにあるものの、刑事訴訟に関してはあまり前例はないです。
ただし2020年4月から法律施行となるため、保健所等に密告されて指導を受けたり、罰金を課されたりすることはあるかも。
ちなみに自宅のベランダで吸っていた人が近所の人から訴えられたケースはある模様。
雀荘を禁煙にしたら客は入るのか?
最後に仮に雀荘が原則禁煙になった場合、客入りはどうなるのか、について考えてみましょう。
まあ、まず既存の客のうち喫煙者はおそらく減ると思います。
とはいえ、喫煙者の中にもこの機に禁煙する人や、「禁煙したいのにできなかったから逆によかったわ!」とか言いながら来店する人もいるのかなと思います。
また、これまで麻雀に興味はあったけど雀荘の煙が嫌で近寄りがたかったというような人は新規で取り込める可能性もあります。
つまりこんな感じ。
既存客で吸う人 ➔来なくなるかも・・ |
新規客で吸う人 ➔来なくなるかも… |
既存客で吸わない人 ➔変化なし |
新規客で吸わない人 ➔増えるかも! |
どの影響が大きいかは客層次第かと思いますが、
麻雀人口が年々減っていることを考えると、既存の客を減らしてでも新規の客を取りに行くというのは、業界全体としてはありなのかなとも個人的には思います。
ちなみに参考として、20歳以上の喫煙者の割合は17.8%だそうです。あと禁煙にしたら顧客層が良くなって客単価が上がったというデータも(アメリカでは)あるみたい。
※カリフォルニア州は1995年からレストラン全面禁煙だからデータが25年分くらい溜まっている。
終わりに!禁煙でも打てる身体にしておくのもよいかも!
現在の受動喫煙防止条例は、従業員を受動喫煙から守るというスタンスですが、実際にはとりあえず2020年の東京オリンピックに向けて!というニュアンスが強いみたいです。
なので、特に外国人観光客にはなじみのなさそうな雀荘とかは意外と見逃される可能性はあり得ます。
ただ、やはり条例制定ということで今よりは禁煙の方向に向かう可能性が高いので、喫煙者の打ち手はいまのうちからニコチンなしでも打てるように肉体改造しておく方が無難かもしれませんね。
ではまた。良い麻雀ライフを!
本記事の内容は以下の本から学びました↓
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