日本プロ麻雀協会の五十嵐プロのアルシーアル麻雀勉強会に行ってきました。
アルシーアル麻雀とは、1990年代に日本へ麻雀が伝来した当初〜戦後までの基本ルールで、現代麻雀のベースになったと言われているやつです。
喰い平和があったり、ドラがなかったり、点数計算が違ったりと現在とは異なる点も色々ありつつ、だからこそのリーチ麻雀とは違った面白さもありました。
20人弱くらいで割とアットホーム系でした。そのうち動画も出るそうです
以下で詳しく解説していきます。
目次
アルシーアル麻雀とは?
まずは簡単に概要を解説します。
この辺は予習をしていったつもりでしたが意外とわかっていませんでした。
1900年代の日本伝来当初の麻雀
アルシーアル麻雀は、1900年代初頭くらいに中国から日本に麻雀が伝来した際に流行っていたルールです。
いつきたかについては諸説ありますが、勉強会で聞いた内容だと、少なくとも1929年の文藝春秋(今もある)には、(アルシーアルでの)麻雀の小説やルールなどが載っていたそうです。
そのころは単に麻雀といえば、このアルシーアルを指しておりました。
ただ、戦後になってリーチ麻雀が普及し出したことで、それと区別し、アルシーアルと呼ばれるようになったそうです。
ちなみにアルシーアルの由来は中国語の22に由来するそうです。
(アルシーアルルールの最低打点が22符のため)
ルールの特徴は色々ないこと
ルールの特徴としては、以下のような点が挙げられます。
- ドラがない
- リーチもない
- 場ゾロ(でんでん)がない
- 1翻縛りがない(役なしでも上がれる)
- 役のカウント(翻数)や対象が違う
- 点数計算の切り上げのタイミングが違う
- フリテンが現物のみ(両面の逆側などは上がれる)
まあなんか現在ではあるものが色々ないんです。
逆に、あるものとしては、「喰い平和」が採用されており、この点も違いです。
他にも積み棒(本場)がなかったり、一荘戦(北まで)だったりも違いとなります。
アルシーアル麻雀のルール
細かいルールを解説します。
現在と同じ部分も数多くあるので、違う点を中心に流れで見ていきます。
同じ点
同じ点としては、牌が136枚で配牌を14枚で取って〜みたいなところは大体同じです。
また、鳴きやツモ、ロンの発声とやり方も現在と同じでOK。
基本的に対局の手順についてはほぼ同じと捉えておいて問題あありません。
符計算の基本(基本符が20で〜、1、9のアンコは8符でみたいなところ)も同じとなります。
麻雀部分は大体同じ。
違う点
一方で違う点もたくさんあります。
一言で言うと、上がり後の点数計算が大きく違っているのが特徴。
それまでの流れでは、点数が2000点持ち(2万点を1/10の扱いにすることが多い)とドラがない(捲らないように注意)くらいです。
アガリについては、のちの項目で採用役や符計算と絡めて説明します。
・・とまあざっくりいうとそんな感じなんですが、ばばばっと書かれてもわかりづらいかなと思ったので、以下で対局の流れに沿って解説していきます。
配牌まで
アルシーアル麻雀でも配牌までは現代とほぼ同じです。時代的な背景として(当然)全自動麻雀卓はまだなく、そのため手積みが基本となります。
全自動麻雀卓で行う場合でもサイコロを一度振りして、取り出し位置を決める方式が多く、取り出し方なども現代と同様で4つずつ取っていきます。(最後はちょんちょん)
この辺の詳しい話がわからない方は以下をご覧ください。
>>手積み麻雀の始め方と進め方!山を積む、配牌を取るなどの全準備を解説
ここまでの違いとしては、
- 点数が2千点
- 一荘戦、または半荘戦
であることくらいです。
点数に関しては、2万点分を払い、これを1/10換算して行います。
(200点と言われたら千点棒2本(2000点)を支払う等)
ドラは捲らない
注意すべき点はドラを捲らないことです。
アルシーアルルールにはドラという概念がありません。
ただし王牌はあるのでそこは切り分けましょう。(嶺上牌を下ろしておくと優しい、当時どうだったのかは不明)
対局中
対局中も基本の動きは現在と同じです。
ただし、これは戦術の話になりますが、役なしでの和了ができます。
なので、鳴きを積極的に使っていくことが可能です。
また、リーチという概念がないため、聴牌してるかどうかは推測しなくてはなりません。
和了時
もっとも異なるのがアガリ時です。
この時は
- 役
- 点数計算
の両方が現代とは異なります。
特に点数計算については独特で、その場で2をかけて計算する感じになるため、最初は戸惑うかもしれません。計算方法については後述します。
役についても同じく後述しますが、特徴は喰い平和があること、あとは現在でも採用されている役のみです。ただし現代麻雀の役の一部について採用がありません。
まだない役:一盃口、三色、ホウテイ、リーチ、七対子・・等
流局時
王牌14枚を残し、流局した場合は、親が移動となります。
つまり聴牌連荘はありません。(親が上がった場合は連荘)
また、罰符という概念もないため、ノーテンでも支払いは発生せずそのまま次に進みます。
終局
規定の対局数(2周か4周)を完了すると終局となります。
この際にどのように勝敗が決まるかにも違いがあり、数え方としては、原点(2000点)以上か未満かで勝ち負けが分かれます。
- 2000点以上・・・浮き(勝ち。成績表に○がつく)
- 2000点未満・・・沈み(負け。成績表に×がつく)
何度か対局を行い、「○」の数が多い人が勝ちとなります。
(「○」が同じときのみ得失点差みたいな概念で素点が使われる)
・・ブゥ麻雀などに近い感じですね。
また途中でのトビ終了などはありません。
まとめ
まとめると、基本は現代と同じ。ただし役や点数計算が大きく異なる。
なので普通に打てる人は、対局中は普通に進められるけど、点数申告でやや手こずる可能性あり・・!
といった感じです。
次の項で役をその次の項で点数計算を解説します。
アルシーアル麻雀の採用役
役に関しては、現在になくてアルシーアルにあるのは「喰い平和」(基本的に食い下がりの概念がなく、鳴いても泣かなくても1役)、あとは現在はあるけどアルシーアルにはないものが多いので注意しましょう。
役のカウントも大きく異なり、
- 1翻役
- 3翻役
- 役満(4翻役)
この3つに分かれます。
1翻役
大体の役は1翻役となります。
食い下がりなしで鳴いても鳴かなくても同じ(符だけ変わる)、小三元は役役分を入れると3役です。
対象は以下の通り。
- 役牌(場風牌、自風牌、三元牌)
- 面前ツモ
- 平和(喰い平和あり)
- タンヤオ
- チャンカン
- リンシャン
- ハイテイ(ホウテイはなし)
- チャンタ
- 一気通貫
- トイトイ
- 三暗刻
- 混一色
- 小三元(実質3役)
条件はハイテイのみツモだけ可ですが、あとは同じです。チーもできます。
ない役としては、リーチ、ホウテイ、一発、一盃口、三色などです。
3翻役
3翻役は清一色のみです。
清一色は3翻に加え、符も+10されます。
(かなりつよい)
◆3翻役
清一色・・・さらにプラス10符する
役満(4翻役)
続いては役満です。
アルシーアル麻雀では最高打点が子2000点、親3000点(満貫)となります。
なので役満もこれになり、原点は2000点(全自動卓だと2万点配って1/10にして計算する)なので、役満を食らうとほぼ全部失う感じです。(青天井ではない)
ちなみにトビはないので借りて続行となります。
- 四暗刻
- 国士無双
- 大三元
- 四喜和(大四喜、小四喜)
- 字一色
- 清老頭
- 天和、地和
- 九蓮宝燈
ちなみにない役としては、四槓子などが挙げられますね。
アルシーアル麻雀の点数計算方法
最後に点数計算です。ここが鬼門でした。
やり方
やり方としては、以下の通りです。
- 符に対し、2を役の数だけかけます(28符2役なら28×2×2=112)
- そしてその値を四捨六入します(112なら110となる)
- 支払いは子のロンは4倍、親のロンは6倍をかけた値です(子なら110×4=440点)
符計算自体は現代麻雀と同じですが、切り上げがありません。
そしてそのまま役数分の2をかけていきます。役なしの場合は2を0回かけるので×1です。
そしてここが厄介なのですが、符と役の計算が終わった段階で出た数値をここで四捨六入します。(このタイミングを間違えると値が変わってしまうので注意)
で、あとは子か親か、ロンかツモかで計算が変わる感じです。
- 子のロン・・×4倍の1人払い
- 親のロン・・×6倍の1人払い
- 子のツモ・・親が×2倍、子が×1倍(計4倍となる)
- 親のツモ・・×2倍ずつ3人で払う(計6倍となる)
出上がりの喰い平和は20符となります。
例:喰い平和のみの場合、
子のロン:20符×2(1役)×4=160点
(親の場合は240点)
です。 この辺は暗記だそうです。
注意点
注意点は以下の3つです。
- 喰い平和がある(ロンは20符)
- ツモ平和は消える(ツモの2符がつくため)
- 四捨五入のタイミングは役をかけたあと
四捨五入のタイミングはかなり間違えがちです。
現代だと、符計算→切り上げ→役をカウントですが、アルシーアルでは符計算→役をカウント(掛け算)→切り上げ→親なら6倍、子なら4倍、となります。
あとは関西サンマのようにツモ時の平和は消える仕様なので、ここもカウントを間違えないようにしましょう。(鳴き平和ロンのみ20符)
ちなみに役なしの場合は役の部分で×1(2を0回かける)になり、0点ではないです。
点数表
点数表を作りました。
0翻 | 1翻 | 2翻 | 3翻 | 4翻 | |
20符 | 20 | 40 | 80 | 160 | 320 |
22符 | 20 | 40 | 90 | 180 | 350 |
24符 | 20 | 50 | 100 | 190 | 380 |
26符 | 30 | 50 | 100 | 210 | 420 |
28符 | 30 | 60 | 110 | 220 | 450 |
30符 | 30 | 60 | 120 | 240 | 480 |
32符 | 30 | 60 | 130 | 260 | 500(満貫) |
34符 | 30 | 70 | 140 | 270 | |
36符 | 40 | 70 | 140 | 290 | |
38符 | 40 | 80 | 150 | 300 | |
40符 | 40 | 80 | 160 | 320 | |
42符 | 40 | 80 | 170 | 340 | |
44符 | 40 | 90 | 180 | 350 | |
46符 | 50 | 90 | 180 | 370 | |
48符 | 50 | 100 | 190 | 380 | |
50符 | 50 | 100 | 200 | 400 | |
52符 | 50 | 100 | 210 | 420 | |
54符 | 50 | 110 | 220 | 430 | |
56符 | 60 | 110 | 220 | 450 | |
58符 | 60 | 120 | 230 | 460 | |
60符 | 60 | 120 | 240 | 480 | |
62符 | 60 | 120 | 250 | 500 | |
64符 | 60 | 130 | 260 | 500 |
この値に子であれば4倍(ツモなら親が×2、子が×1)、親なら6倍(ツモは×2オール)が支払額となります。
また、子で2000点、親で3000点(×4、×6する前で500)が上限です。
アルシーアル麻雀の戦術
戦術的なのもいくつか学びました。
基本は速攻
まず基本は役なしでの速攻です。
これが何でも鳴けるため、通常の麻雀よりも山読みや鳴き判断が重要な感じでした。
ここで出遅れると無限にチクチク食らって気がつくと点がないみたいになります。
ベタオリはダメージ最小化が基本
続いてはベタオリです。アルシーアル麻雀では、役なしでの上がりができ、かつリーチも入らないため、基本的に待ちを絞ることはできません。
ただ、じゃあゼンツすればいいかというとそうでもなくて、明らかに高い鳴き(清一色、役のあるカンなど)に対しては降りていく必要があります。
このときの降り方は当たった時に高くない牌を切っていくことになり、例えば、マンズの染め手ならピンズで当たっても仕方ないみたいなそんな感じです。
差し込みも割とあり
高い手の人がいるときなどは他家に刺さった方がマシとなることも多く、その辺の差し込み力も重要そうな感じがしました。
また、勝ち負けが浮きか沈みかだけなので、Aトップを狙いにいく裏切り、Bトップでいいので共闘みたいなその辺の兼ね合いも重要な感じがしました。
見逃し、山越しなどもあり
あとはレアケースですが、ツモよりロンの方が高い(平和など)ケースなどもあり、フリテンも現物のみであることなどから、条件戦では見逃しも視野に入れる必要があります。
自分は点数計算があやふやだったので難しいことはしないようにしていたのですが、講師の五十嵐プロが同じく教会の森合プロに「これはツモを見逃して7sを切った方がいいね」みたいにいっていたのでそんなパターンもあるみたいです。
終わりに。アルシーアル麻雀は日本麻雀連盟が本場
以上がアルシーアル麻雀でした。
日本麻雀連盟という日本最古の麻雀団体が実は今もあるそうで、そこではいまだにこのアルシーアルルールを第一ルールとしているそうです。
プレイしてみた感想としては、手作りの独特さやベタオリの難しさ(待ちが読めない)など奥が深い感じがしました。
点数計算はむずいけど、楽しかったので、ぜひ機会があればプレイしてみてください。
ではまた。良い麻雀ライフを!