全自動麻雀卓には牌の偏りがあるのか、ないのか。
これは長らく議論されていることですが、この結論が出てしまいました。
結論から言うと、上ヅモに有効牌が固まりやすいという話なんですが、これは全自動麻雀卓の種類によっても違ったりします。
今日はこの辺の全自動麻雀卓の牌の偏りの話をしていきます。
目次
全自動麻雀卓アルティマで上ヅモしか勝てない説が証明されてしまう
ソースとなるのはこちらの動画。
https://www.youtube.com/watch?v=JaG6xeUiVE4
ぽんてんチャンネルさんの作成した検証動画なんですが、
100回牌を上げて落としてを繰り返したところ、明確な牌の偏りが見られた
という内容です。
詳細は動画をぜひご覧になっていただきたいのですが、かいつまんで紹介すると、
不要牌(1,2,8,9、字牌)と有効牌(3~7)を色分けし、有効牌➔不要牌の順で100回落とすと、先に落とした牌のグループが下ヅモになりやすく、後に落とした牌は上ヅモになりやすい
という結果です。
実戦の場合では
捨て牌エリア=不要牌
が先に落とされ、
有効牌エリア=有効牌
が手牌にあるため後に落とされます。
結果として、上ヅモに有効牌が固まりやすいというわけです。
これは、まことしやかに言われていた話ですが、実際にそうだったということが今回証明されました。
以下ではこれによって不公平感が出るのか出ないのか、そんな話を議論していきます。
全自動麻雀卓の牌の偏りがあるとはいえ、平等ではある
ちなみにこの牌の偏りがあるとはいえ、
じゃあ、席によって有利不利が分かれるのか?
というとそうでもありません。
というのは以下の理由によります。
偏りの利益は全員に同じなので平等
偏りがあると仮定しても実はそれが致命的にならないです。
理由は
親が回り有利不利の確率は均等化される
ため。
どういうことかというと、配牌機能ありの全自動麻雀卓(アルティマ系)の場合、親は第一ツモを上ヅモから取ってゲームをスタートします。
なので、親と西家は始め上ヅモの流れになり、もし鳴きが入らない場合そのまま上ヅモの流れが続くため親と西家が有利となります。
しかし、次に南家に親が移れば今度はその人が上ヅモスタート。また親が流れれば上ヅモの人が変わって・・・
というように親とともに上ヅモも順々に回って行きます。
なので、南4局までプレイした場合、上ヅモはそれぞれ4回ずつで皆平等です。
全自動麻雀卓の牌の偏りが不公平になる場合とは?
とはいえ、じゃあいつでも平等か?というとちょっとだけ有利不利が出る場合もあります。
それは、
特定の人だけが牌の偏りを知っている場合
です。
というのは、例えば
- 親と西家のときにはあまり鳴かないようにして、南家、北家のときはめっちゃ鳴いてずらす
- 上がられたくないライバルには下ヅモを送る
というような戦術が可能になるからです。
一方で全員が知っていれば、それを踏まえた上での戦術の取り合いになるのでこれは平等と言えます。
アルティマ後継機「アモスレックス」では偏りはほぼ起こらない理由
ちなみに上の検証動画にて使用された卓は2005年〜2014年まで発売されていたアモスアルティマという機種なんですが、この後継機となるアモスレックスではほぼ偏りは起きません。
なぜかというと、2つの工夫があるため。
以下でそんな最新の機能を解説していきます。
見分け方とかの参考:Mリーグ使用の全自動麻雀卓・アモスレックス2の独自機能、アルティマ卓との違いと見分け方
ランダム山積み機構
まずはランダムな山積み機構が特徴の一つです。
アルティマでは前述のように
下山→配牌→上山
なんですが、レックスではこれがランダムとなります。
つまり、それぞれの巻き上げ口ごとに、
- 下山→上山→配牌
- 配牌→下山→上山
- 下山→配牌→上山
のいずれかとなります。
よって、上山にだけ有効牌が偏るというわけではないです。
動画撮らせてもらってきた↓
シーパイレスで先落ち牌を固定
ただこれだけだと、いやでも上山か下山か配牌のどれかに偏るんだべ??と思う人もいるかと。
その通りなんですが、これも最近解消されました。
具体的にはレックスの2019年12月以降のやつにはシーパイレスという機構が装着されていて、これがすごいんです。
こんな感じのネットみたいなやつが先に落とした牌を補足して中央に固定、これにより先落とし牌が先に積まれる説も解消されましたとさ。
シーパイレスを解説してもらったやつ↓
まとめ
つまり、
- ランダム山積み機構
→どの山が先に積まれるかわからない - シーパイレス
→そもそも先落とし牌が先に積まれるとも限らない
となっていて偏りは限りなく少ないと言える。
全自動麻雀卓ごとの牌の偏りの違いもあり!山を積む順番による
ちなみにこの牌の偏りについて、自動卓の種類によって差もあります。
というのは、アルティマ系の麻雀卓では
下ヅモ➔配牌➔上ヅモ
の順で積まれますね。
しかし、中国卓ではこの順番は一般的ではなく(そもそも配牌はないですが)、
下ヅモ1つ➔上ヅモ1つ➔次の列の下ヅモ➔次の列の上ヅモ➔・・・
というように下上下上を繰り返して積まれます。
なので同じ理論で考えると、牌の偏りも上下ではなく左右となり、中国卓においては右ヅモしか勝たないが正しいです(検証していないので予測ですが)。
※表現の関係で「〜しか」と言っていますが、別に左に全く有効牌がないとかそう言う意味じゃないです、念のため。
あと配牌をサイコロ振って取るタイプ(自動じゃない)の場合、
- そもそも山が偏っても誰がどこを引くかはランダムなのでそんなに影響が出ない説
- 上下積みで偏っても同じ人に牌は巡らない説
などもあります。
家庭用全自動麻雀卓GAZZで偏りの検証をしてみた!
実際にアジャストさんで検証をしてみました。
スケルトンGAZZ卓とカラフルに塗った牌を使いました。
検証の前提
というわけでアジャストさんに行ってきました。
すると出てきたのがこちらの牌。
・・・なんだこれは!
よーく見ると牌に色が塗ってあります。
ご用意いただいたこちらの牌と、アジャストさんの全自動卓スケルトンGAZZを用いて検証していきます。
こんな感じで捨て牌と手牌で色を変えて、積まれ方を見ていきました。
検証してみた
というわけでここから検証していきます。
検証方法としては以下の2つを比較しました。
- そのまま牌を落とした場合
- 卓上で牌をかき混ぜてから落とした場合
これ↓
検証1:そのまま落とした場合
まずは通常の対局と同様に、牌を
捨て牌→山→手牌
という順番でやってみた場合です。
このやり方は2回行ったのですが、以下のように最初に落とした捨て牌部分が左に偏る傾向が見られました。
1回目↓
2回目↓
検証2:牌を卓上でかき混ぜた場合
続いては牌をかき混ぜてみました。
その結果がこちら。
最初に比べてよく混ざっていることがわかります。
検証結果を比較してみた
これらを比較してみました。
2回だけしか見てないので参考程度ですが、もっとも差が大きそうだった最初の6牌で比較してみるとこんな感じ。
まとめ
結論としては、牌をかき混ぜると混ざりが良くなりました。
ちなみに業務用の卓はかき混ぜ用の機構があったりするのでこの限りではないと思います。
あくまで今回の検証では
- N=2(2回)と試行回数が少ない
- 特定の卓(GAZZ)のみで試しただけ
という限定的な話なのでそこはご留意ください。
Maru-Janは全自動麻雀卓の偏りの傾向を再現!
ちなみにオンラインゲームでは全自動卓と来方が違ってきます。
しかし、この差に早くから着目していたのがシグナルトーク社で、maru-janでは、牌の偏りを再現するために、
- 2セットの牌パターンを使用
- 捨て牌を下山へ、手牌が上ヅモにきやすい調整
がなされているとのこと。
maru-janはユーザーの4割以上が60歳以上と言われている老舗の麻雀ゲーム。
もし自動卓に近い状況での対局を行いたい!という人はぜひmaru-janを試してみてはいかがでしょうか。
Maru-janの詳細↓
全自動麻雀のドラムで空回転を3回入れることで理想の撹拌となるという研究結果もあり
ちなみに全自動麻雀卓においても牌の撹拌を理想的とする方法がある!というデータも出ています。
それが愛知県立大学より出ているこちらの論文で、これによると
全自動麻雀卓内部で牌を回転させる空間であるドラムに空回転(吸込み口が牌を取得しない回転)を 3 回転以上加えることによって,牌の撹拌率を大幅に改善できることが分かった.
つまり、牌を落としてから積み上げる前に3回転するようにすればOKという理論。
・・・若干時短力は下がりますがこのくらいなら技術的にはできそう!
終わりに。牌をかき混ぜてから落とすと偏りはなくなる
そんな感じで卓の積み方と牌の偏りは多少はあるみたいです。
とは言え、完全に分離されるとかそういう話ではないので、まあそんな傾向があるくらいに思っておくと良いかもです。
もしそれが嫌だ!という人は牌を落とす前に卓上で一度かき混ぜてから落としてみてください。
そうすれば牌はちゃんと混ざって上ヅモ下ヅモの差は少なくなるはずです。
まあ、ぶっちゃけこれを知ったからといってどうなるわけでもないですが、知識として知っておくとよいかも!くらいのお話しでした。
ではまた。良い麻雀ライフを!