麻雀の組合活動について、理事長の高橋さんに聞いてきました。
お疲れ様です、麻雀グッズ研究所のたkるです。
麻雀店が平和に営業できているのは、実は日々の組合の活動が功を奏しているのかもしれません。(PR)
実は麻雀業界組合というものがありまして、ただ
- 組合って何?そんなんあるの?
- 組合って何してるのかよくわからねえ・・
- そういえばうちも入っているけどあんまり意識したことないなあ
という人も多いと思います。
そこで今日は、麻雀業組合の活動内容について全国麻雀業組合総連合会(全雀連)理事長の高橋さんに伺いました。
全国麻雀業組合総連合会(全雀連)とは?4つのブロックから成る相互扶助団体
雀荘関連の人以外は、存在を知らないか、あるいは知っていても何をしているのかよく分かっていないという人も多いと思います。
そこでこの項では、『全国麻雀業組合総連合会』(通称:全雀連=ゼンジャンレン)についてどのような組織なのかを解説します。
組織の概要と目的
引用元:https://www.zenjanren.com
まずは簡単に組織の概要を説明します。
終戦直後に風営法が白紙になり、外国人や反社会的分子による無法行為から自己防衛のための組織作りや、当時麻雀店営業者を悩ませていた高額の税負担を解決するための組織の立ち上げが急務となってました。そうして各地で組合組織が結成され、様々な問題を解決してきました。
引用元:https://www.zenjanren.com/info/
戦後まもなくに地域ごとに連合会ができ、それが1955年に全国統一された「全国麻雀業組合総連合会」となりました。
活動としては、警察や国会議員との団体交渉をしたり、地域の店舗同士のトラブルを対処したり、連携して地域の麻雀店を盛り上げたりをする組織となります。
体制
続いては体制についてです。
これがけっこう複雑だったので図解しました。
それぞれの区分けについては以下で詳しく解説していきます。
4つのブロック
引用元:https://www.zenjanren.com/info/
麻雀業連合は地域単位で4つのブロックに分かれています。
まず1番上にあるのが全国麻雀業総連合会、その下に地域ブロックごとに9つの支部があり、その下に都道府県単位のブロック、一番下が所轄警察署単位でのブロックです。
◆組合の4ブロック
- 全国麻雀業総連合会…全国レベルの諸事項へ対応
- 九支部…広域の諸事項へ対応。北海道支部、東北支部、東京支部、関東支部、中部支部、近畿支部、中国支部、四国支部、九州支部の9つ。
- 都道府県連…都道府県単位。
- 所轄組合…所轄警察単位の諸事項へ対応。
基本的に各雀荘は所轄単位のブロック、あるいはそれがない地域では1つ上の都道府県単位のブロックに所属することになります。
それぞれの役割の違いは範囲で、例えば新宿警察署と交渉するときは新宿支部が、都議会議員と交渉するときは東京支部が出ていくといった感じです。
それぞれの支部で支部長が置かれ、その中の一部が上位団体の理事を兼任するスタイルとなっています。
例えば高橋さんは
全国麻雀業組合総連合会の理事長、兼、東京支部長、兼、千代田支部長
です。
各雀荘は重複して会費を払う必要はなく、どれかに1つに所属すればOK。その中の一部費用が上部団体の活動資金として充てられます。
トラブル保険としての営業環境適正化会員制度
先程のブロックは縦の区切りだったのですが。それとは別に「営業環境適正化制度」という派生制度があります。
こちらは組合と営業環境適正化会制度で両方に所属することが可能です。
※ただしその場合、費用も両方必要
適正かつ健全な麻雀店営業のために特別顧問の指導の下、業務妨害・暴力の追放の取り組みを強くアピールすることを目的とし、また行政・司法・立法に詳しい顧問を迎え指導及び正確な情報伝達を行います。
営業環境適正化会員は個々の店舗で業務妨害・暴力事案が発生した際、特別顧問の「アドバイス協力」を迅速に受けることができます。(営業環境適正化会員119番制度)
引用元:https://www.zenjanren.com/sanjo/
違いとしては、以下の通り。
麻雀業組合 | 地域の麻雀業の振興 地域での情報交換 近隣店舗同士のトラブルの仲裁 |
---|---|
営業環境適正化会制度 | 突発的に起きるトラブルへの対処 顧問弁護士や警察OBなどの契約費用 |
2011年に東京で雀荘の大規模摘発があった際、既存の組合費だけでは顧問弁護士等を雇っておけないということで、新たに創設された組織となります。
営業環境適正化会は、リスクの高い営業形態をとっている雀荘がみんなでお金を出し合って有事に備える、保険のような形態です。
大会系は全段審が主催
体制の話がまだ続きます。(これで最後なのでお付き合いください)
組合では、大会活動や競技活動を行う部門が切り離されており、別組織として「一般社団法人全国麻雀段位審査会(全段審)」が存在します。
具体的には、
- ねんりんピック
- 国民文化祭共通
などの健康麻雀の大きな大会は、組合が協力しつつ、全段審が実施します。
組合の体制まとめ
体制をまとめます。
麻雀業組合 | 全国麻雀業総連合会、九支部、都道府県連、所轄組合の4つのブロックからなる。 主に近隣地域の麻雀業の振興、所轄警察との連携が目的。 基本は全雀荘加入が推奨。 |
---|---|
営業環境適正化会 | 偶発的に起こるリスクに備える組織。 顧問弁護士、警察OBなどを雇う。 主にハイリスク経営の店舗が加入。 |
一般社団法人 全国麻雀段位審査会 |
健康麻雀大会の企画・運営 麻雀用品・グッズの販売 アマ段位の認定 |
こんな感じで大体同じでは?と思うかもですが、役割が分かれています。
歴史的な背景や法律的な話とか色々しがらみがあるそうです。
(体制の再編を検討しているとのこと)
麻雀業組合の主なお仕事!加入すべきか問題の判断材料まとめ
ここからはより深い話を解説します。
現状の加入率は20%前後
現状の加入率ってどのくらいですか。
高橋さん解説(歴史の話)↓
歴史的な背景で言うと、昔は「娯楽利用税」というものがあり、これを定期的に取りまとめる作業を組合が担っていました。
当時の加入率はほぼ100%近かったのですが、消費税の導入と同時期に「娯楽利用税」が廃止になり、その意味での組合加入の理由がなくなってしまったのです。
その後麻雀店舗数も減少傾向となり、加入率も下がってしまったそうです。
入会するとどんな特典がある?
続いては組合入会時の特典について伺いました。
しかし地域の役員さんが、定期的に所轄警察署に訪問してくれるおかげで安心して営業できたり、また、組合の営業環境適正化会では顧問弁護士を雇っており、年間に10件以上のトラブルを水面下で解決しています。
組合の活動は表に出づらいものも多い。
トラブルが起きた際、当事者となる雀荘店舗さんはパニクってしまい、冷静な判断がくだせないこともあります。
そんなときに相談できる先があるという安心感を組合加入により提供できます。
例えば・・・
コーヒーこぼして服にかかったじゃねえか、どうしてくれる??
みたいな接客業ならではのトラブルも相談できます。
荒れごとに弱いオーナーさんは相談できる先として組合加入もおすすめ。
東京支部は「麻雀界」がもらえる
麻雀界↓
組合加入数が減るとどんな悪いことがある
マクロ的な話で言うと、警察庁や国会議員に対する陳情活動が難しくなります。それにより業界のイメージが悪くなり、予期せぬ摘発が起きてしまうリスクが高まります。
警察による一斉摘発などが起こらぬように、組合が間に入ってワンクッション置くことで均衡を保つイメージです。
またミクロ的な側面では、(お互いに組合に入っていない)ライバル店同士でトラブルが発生すると、誰も仲裁ができず、泥沼の争いに発展することが起こり得ます。
「組合がまとめ切れてないなら交渉してもしょうがないな」と警察に思われると業界全体で厳しくなる。
目に見えての成果はありますか?
水面下で色々動かれてるのは理解できたのですが、やはりお金を出す雀荘さんとしてはメリットが欲しいかなと考えており・・
詳しい話↓
初め、各雀荘ごとで問い合わせをした際には麻雀店は飲食店扱いではないとの回答でしたが、組合を通じて都議会議員と粘り強く交渉をすることで、(飲食店許可を持つ麻雀店は)飲食店と同様の補償を勝ち取ることができました。
この様子はNHKのドキュメンタリーとしても放送されており、新宿の雀荘さんがこの件で私(高橋さん)と電話やり取りをしている様子などもテレビ放送されました。
法律改正の成果は?
特に子どもが遊戯できる麻雀施設については、具体的な構想もできており、2022年内には決着を付けたいと思っています。
また、政治的な陳情活動も成果が出ており、麻雀のすばらしさを理解頂ける議員の方も増え、2022年3月3日の参議院予算委では和田正宗議員より、風営法についての意見を述べていただきました。
これ(の16分ごろから)↓
和田政宗議員が国会で麻雀業を風営法から外すよう嘆願
また、18歳未満の入れる雀荘施設の実現に向けても、日々調整を進めております。
その他では、銀行融資に関して、業種による差別を行わないようにする陳情を出したりもしました。
2020年以降に融資が通りやすいなと感じているオーナーさんがおりましたら組合の成果と言えるかもしれません。
組合は水面下で色々してる。
費用はいくらかかる?
営業環境適正化会員費は別で月額3,000円(年36,000円)となります。
営業環境適正化会と組合は両方入るべき?
トラブル発生のリスクの低いセット専門店やノーレートで深夜営業のないフリー店舗などは無理して入らなくても大丈夫ですが、
健康マージャンの普及や法改正などにも費用が掛かりますので両方入って頂けるとありがたいです。
営業環境適正化会制度に入れば安心?
しかし、お客様とのトラブルなど突発的な事案や警察沙汰になった案件に関して、顧問弁護士、警察OBに対応を相談できたりする、などのメリットがあります。
会費は何に使われていますか?
組合費は主に、会報の発送や営業費、顧問弁護士への顧問料などに使われます。
使い道が直接成果につながらずわかりづらい面もあるのも確かであり、課題感を感じています。
実際、(高橋さんが)組合加入のお願いに行くと「どうせあんたらの飲み代に消えるだけだろ」と言われることも少なくありません。
しかし、平和で健全な業界づくりや、健康マージャンの推進、政治家や警察OBとのコネクションを作る上で必要な活動であると考えています。
どんな方が顧問になられていますか?
・菅原勝治(警視庁OB)
・勝俣茂(警視庁OB)
・齋藤 貴弘(弁護士)
すごいなと思いました。(小並感)
組合は、今変わりつつある
具体的には
- 管轄レベルの組合の再編
- アナログな文化をデジタル化
などが改革対象だそうです。
実際、高橋さんが理事となった10年前(2011年)、東京の組合は、FAXのみ受け付け(メール不可)、HPも機能していない状況だったそうですが、この辺は既に改善されました。
高橋さんの経歴はこの次の章で紹介するのですが、
- 元協会所属の麻雀プロで事務局を経験
- 麻雀界の編集長と組合の理事長を兼任
- 自身も秋葉原に雀荘を持っている(オーナー)
とかなり属性が多い方です。
最後に高橋さんの経歴を簡単に聞いてきた。
最後に今回お話を聞いた高橋さんの経歴がすごかったので紹介して終わりたいと思います。
まずは概略ですが以下の通り。
◆23歳くらいの頃 当時立ち上がったばかりの日本プロ麻雀協会第1期後期に入会
・・当時は1回の審査で実技上位3人しか受からない超高難易度だったそうですが、これを一発で合格したそう。実技2位だったそうです。(3/40人の倍率)
◆2011年 組合再編時の千代田ブロック理事に抜擢
・・「とりあえず月1の会議出ておけばいいから」と言われて訳もわからず始めたところからスタートだったそう。
◆2015年 東京支部理事長に抜擢(当時39歳)
・・アナログすぎる組合を見て色々やっていたら当時の理事長(平均年齢70歳くらい)に見込まれ、東京支部長に抜擢される。
◆2021年 全国麻雀業組合総連合会理事長に抜擢(当時46歳)
・・2021年からは全雀連の理事長に就任。異例の若さ。
今に至る。(執筆時)
それぞれ簡単にみていきます。
日本プロ麻雀協会第1期後期で入会
今から20年くらい前「日本プロ麻雀協会」が新たに設立されました。
その頃の高橋さんは大学出たてくらい、協会が経営していた雀荘(「雀王」という道場)に通っていたそうです。
プロになるつもりはあまりなかったそうですが、常連の知り合いがプロになったと聞いて、受けてみたのがきっかけだったそうです。
高橋さんは阿賀プロ、ケネスプロなどが同期だそうです。
ちなみに上位3名のみ通過の制度については、厳しすぎると言うことで、ちょっと緩和されて10人くらい追加合格となりました。
事務局を経験
入会時に「機会があれば裏方をやりたい」と言っていたこともあり、20代の若手の頃から事務局のお手伝いをしていたそうです。
その後色々あって、プロ協会は脱退することになったそうですが、この際の組織運営のノウハウが組合活動にも生きているのかなと思いました。
西野さんと出会い、「麻雀界」を手伝う
その後、麻雀業界の重鎮・西野孝夫さん(元「月刊プロ麻雀」編集長)に声をかけられ、「麻雀四季報」(現在の「麻雀界」)の編集手伝いをするようになったそうです。
当時はまだ組合の活動についてはほとんど分かっておらず、自身の雀荘を出す際にも「ノーレートだから」と言う理由で風営法の許可を取らずに出店しようとしたほどだったといいます。
(これは西野さんに止められたそう)
ジャーナリストとしての基礎を西野さんに叩き込まれつつ、麻雀業界への人脈が広まったのもこの時期だったそうです。
その後、2011年に組合の態勢変更に伴い、千代田区支部長を任させることになり、組合活動がスタートします。
アナログだった組合を改革
西野さんからは「月1回会議に出ればいいから」と言われていた組合活動でしたが、高橋さんは就任後改革を実施します。
当時の組合活動は
会議1時間(うち30分は雑談)、あとは飲み会
というようなことも多く、出席連絡などもFAXオンリーと言うようなアナログな環境でした。
若手だった高橋さんは、カルチャーショックを受けますがへこたれませんでした。
飲み会を通じて重鎮の理事たちと仲良くなり、
- 組合HPの整備
- 出欠確認のデジタル化
などを敢行していきます。
やがて当時の理事長や役員の皆さんの推薦もあり、2015年に39歳の若さで「東京支部支部長」(全雀連副理事長を兼務)へと抜擢されます。
まとめ
麻雀プロとしても若くして事務局を経験しており、麻雀界編集長としてのジャーナリストの側面、あとは自身の雀荘を秋葉原に持っており、雀荘オーナーでもあります。
様々なポジションの人の気持ちがわかるという点に加え、40代という(麻雀業界では)若手で、変化を巻き起こすことのできる理事長かなという印象でした。
今は経営が厳しい雀荘さんとかも多いかなと思いますが、組合活動は業界全体のためには重要な気がしたので、余裕がある店舗さんはぜひ入会を検討してみてはいかがでしょうか。
ではまた。良い麻雀ライフを!
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